3 色と味覚

 

味覚は色によって左右され、同じ食べ物でも違う色だったり、違う色の食器で味わったりすると感じ方がまったく変わってしまいます。
色によって味にどんな違いが出るのか、どの色がおいしく感じるのか等、色と味覚の関係を見ていこうと思います。

「缶コーヒーの缶の色」
コーヒーは何色のカップで飲むのが一番美味しいのでしょう?
「濃い茶色・赤・青・黄色のカップに1つのポットからコーヒーを注ぎ味を比べる」実験では中身が同じコーヒーであるのに味にかなりの差ができました。

『濃い茶色』味・香が非常に濃い
『赤』やや濃い
『青』やや薄い
『黄』非常に薄い

濃い茶色のカップではコーヒーがとても濃く感じるのに、同じコーヒーが黄色のカップではとても薄く感じられてしまいます。
味覚には、コーヒーの味自体より、カップの色の方が心理的に大きく作用しているようです。

玉川大学では、甘味、酸味、苦味等の味のついた液体に色をつけてどんな影響があるか調べています。
色は、赤・茶色・緑など、6色に着色しました。

茶色の液は 旨味を塩辛く感じ、苦味を甘く、塩辛い味は無味に感じます。
色をつけた液の中では赤い液が一番味の識別しやすく、茶色の液は一番判別が難しいようです。

眠気覚ましに缶コーヒーを飲まれるのでしたら濃い茶色の缶が一番効果があるかと思われます。
けれど味・香は強く感じるかもしれませんが本当の味とは違ったものになってしまっているかもしれないですね。

「カレーライスのお皿の色」
日本では昔から、黒や茶色の漆器や陶器が愛用されてきました。色は黒を背景にしたときが最も引き立つからです。
特に日本食にはご飯、白味噌、豆腐、白身の刺身などの白い食材が多く、それらは白い器に盛るより、黒い器の方がはるかに美しく見えます。
では、はっきりとした色のついた料理、たとえばカレーライスは何色のお皿が一番おいしく見えるのでしょう?
「色のついたお皿にカレーライスを盛り、人気を調べる」という実験で、 一番人気がなかったのはカレーライスと同じ色の黄色のお皿でした。
そして逆の色の青いお皿も不評でした。
結局、カレーライスが美味しそうに見える色は白か黒のお皿ということになり、一番人気があったのは白いお皿でした。

食材を一番ひきたたせる色は黒ですが、「カレーライスには白いお皿」、という定番のようなものもあって、白いお皿がなんとなく安心できます。
それに、黒いお皿がならぶ食卓より、白いお皿ならぶ食卓の方が気分的に明るくなれるというのもあるかもしれません。

「ダイニングルームの色彩」
料理をおいしく味わうには、料理と料理を盛る器はもちろんですが、照明も味に大きな影響を与えます。
照明には蛍光灯ではなく白熱電球がおすすめです。白熱電球の暖色系の光は食欲と消化を促進します。
蛍光灯の冷たい光はテーブルについた人の自律神経をにぶらせ、空腹感も抑えてしまいます。

食欲がわく色はファーストフードの看板によく使われている、赤、オレンジです。オレンジ・黄色は空腹感を呼び起こし、消化作用も助けてくれます。
赤・オレンジをダイニングルームの小物にとりいれると効果があります。
ただし、壁の色など、面積がひろい部分を赤にしてはいけません!赤は消化器官を過度に刺激するため、炎症をおこし、胃のあたりに痛みが出てきます!

ダイニングルームの壁の色は、オフホワイトやアイボリー、または白木そのものが最適です。
ほどよい白さはどんな料理にも合い、くつろいだ雰囲気をかもしだしてくれます。

料理をおいしく味わうには色の配色はとても大切です。
食欲をわかせる暖色系等の色、気持ちを明るくさせる白。時には料理を引き立たせる黒を使っておいしい味と色を楽しんでみて下さい。