9 色の錯覚

 

生活の中で色を効果的に利用するには「色の錯覚」はとても大切です!
色の錯覚を使うと熱い・冷たいの温感の他に、時間の経過や物の大きさ、重さなどの感じ方も変化します。
色の錯覚を利用して快適な生活環境をつくりましょう!

『時間』
時間は壁の色によって長く感じたり、短く感じたりします!
その差は寒色・暖色の違いによっておき、暖色ならば時間は実際より長く寒色なら実際より短く感じます。
それは暖色や寒色がもっている体への影響力のせいです。
暖色(赤・オレンジ・黄等)は私たちの体を興奮状態にする性質があります。
体温・血圧が上昇し、呼吸・脈拍が速くなり、赤い部屋にいるだけでエネルギーを消耗して疲れてしまいます。

寒色(青・緑等)の光の中では体温・血圧は低下し、呼吸・脈拍も遅くなり、エネルギーの消耗も抑えられます。
エネルギーの消耗がいつもと違うと、疲労や空腹など、時間が経過したような体感覚がおきるので、時間の感覚が判りにくくなるのです。

この錯覚は飲食店によく利用されています!
壁の色を暖色にし、たとえば客は店に30分しかいないのに1時間もいたように感じ、客の回転が速くなり売上も伸びる、そのような効果を狙っています。
逆に寒色の壁は、1時間も居たのに30分にしか感じず、しかも落ち着いて長居し、青い色の反射のせいで料理までまずそうに見えてしまうなど、飲食店にとっては致命的な色です。

寒色の壁は美容院・病院・銀行など客を待たせるところには有効です。
たとえば1時間待ったのに30分にしか感じず、イライラしないで落ち着いて待っていてくれるなら、とても役にたつ配色です。

『大きさ』
明るい色は大きく見え、暗い色は小さく見えます!
これは「光浸現象」といって、明るい光が暗い方に飛び出して見える現象です。
たとえば海や地平線に沈む太陽は、海や大地に食い込んでいるように見えます。
また、指を太陽にかざしてみると、指は太陽の光で切断されて見えます。
背景より暗い色のものは小さくみえますので、やはり黒い服、暗い色の服は痩せて見えるのもうなずけます。

『進出色・後退色』
色によって大きく見えたり小さく見えたりするように、飛び出して見える
「進出色」、後ろに下がって見える「後退色」があります。
大きく分けると、赤、橙など明るい色、冴えた色、暖色が進出色です。
後退色は青・緑・紫など暗い色、くすんだ色、寒色が後退色です。
後退色の困ったところは、車の色にすると遠くに見えるせいで進出色よりぶつけられ易いということです。
車の色で一番錯覚がおきにくいのは黄色です。黄色は目に飛び込んで来たときピントが合わせやすいので距離が正確につかめます。


『重さ』
実際には同じ重さ、同じ大きさの白と黒の箱、どちらが重く感じるでしょう?
答えは黒の箱です。黒と白を比べると、心理的に黒のほうが1.87倍重く感じるという測定結果があります。
重く感じるのは、暗い色、鮮やかな色、色の種類では赤や紫です。
小さな物を贈り物にするのなら、黒や濃い色の包装をお勧めします!
ちょっと想像してみただけでも白い箱より黒い箱の方が重く、高級感があるように感じます。